ここまで5回に渡って道具選び、そしてゴルフのルールについてご紹介してきました。
もしも第1回から順を追って読んでくださっているならば、まだボールは打っていないはず。さすがに焦りはじめた人もいるでしょう。
……が、もう少し我慢しましょう。
このサイトを活用してくださっている人のなかに、運動に自信がない人がどれほどいるでしょうか。
スポーツでも勉強でも、同じだけ努力をしたのに、上達スピードが人によって異なる。なんだか理不尽ですが、誰だってそんな場面に直面したことはありますよね。大抵の場合、私はそのスピードの差が、本質(エッセンス)を捉え方が成功した人と、失敗した人との違いだと考えています。
努力は大切ですが、「正しい努力」をしなければ思うような上達はのぞめません。それどころか間違った感覚を体得してそのまま練習を続ければ、続けるほどに悪習が体に染み込んで逆効果になってしまうのです。
練習のご褒美は、上達です。
たとえ趣味とはいえ、結果がついてこなければ大抵の場合、挫折します。
ゴルフでいう上達の目安は、もちろんスコアです。
迷惑をかけずにラウンド出来るようになりたい。
100を切りたい。
90を切りたい。
シングルプレーヤーになりたい。
不思議なことに、ゴルフは「実力の現状維持」で満足できる人はまずいません。たとえどんなに上達しようとも、いったんその魅力に憑りつかれるとより良いスコアをめざしたくなります。
ところがいったん身に着いた悪習を矯正するのは非常に難しいのです。
だからこそ、最初が肝心です。
お金はもちろん、せっかく大切な時間を割くのですから、はじめに正しい感覚を身に付けましょう。
いよいよ次回から始まる練習にそなえ、今日は頭に入れておきたいゴルフの肝についてご紹介します。 教材は一冊の本です。
『モダン・ゴルフ』(原題:"Five Lessons: The Modern Fundamentals of Golf")は、メジャー9勝を誇る米国のプロゴルファー、ベン・ホーガンによって書かれたゴルフの教則本です。
1957年に刊行されたこの本は各国で翻訳され、発刊から半世紀が過ぎた今なお世界中のゴルファーの間で『ゴルフのバイブル』として広く愛読されています。
とびきり練習熱心だったホーガンが、そのスイング理論をあまさず書き尽くしたものがこの本です。プロゴルファーはもちろん、アマチュアゴルファーにとっても分かり易い言葉で、正しいゴルフスイングについて書き尽しています。また、理論を語る一方で、本著のはしばしからホーガン自身のゴルフ哲学に触れることが出来ます。
この一冊は必読として、ここではゴルフスイングの基本であるグリップについて、少々ご紹介しておきます。
ご存知の通り、ゴルフクラブはただの棒ではありません。
また、野球のバットやテニスのラケットとも違います。
ゴルフクラブのシャフトの先端には、明らかにアシンメトリーな物体、ヘッドが付いています。世の中にある棒状のもので、最も扱いにくいといっても言い過ぎではないでしょう。
そんな、非常に扱いにくいゴルフクラブを上手に使うために工夫されているのがゴルフグリップです。
まず、ゴルフグリップの種類には、
「オーバーラッピング」
「インターロッキング」
この2種類があります。
プロや上級ゴルファーの多くはオーバーラッピングを採用しています。
ただ、インターロッキングを採用しているプロが、タイガーウッズ選手や石川遼選手といった非常に有名な選手であるため、あえてインターロッキングを採用しているアマチュアも少なくないかもしれません。
このどちらを採用するか。
途中で変えることもできるので、ここは自分がやり易い方で構いません。
続いてゴルフグリップの向きの種類は、
「ウィークグリップ」
「スクエアグリップ」
「フック(ストロング)グリップ」
この3種類があります。
グリップの向きはフェース面の向きと密接に関係しているため、良くも悪くも球筋に影響します。実際に練習場に行った時に、ティーチングプロに球筋を見てもらいながら微調整してもらいましょう。
初心者がゴルフのレッスンを受けに行くと、必ずグリップの指導から始まります。
ぶっつけ(レッスン)本番でグリップ指導を受けると、持ち慣れていないあまりに手が痛くなってしまったりとボールを打つどころではなくなってしまいます。
『モダン・ゴルフ』にはグリップ練習について以下のような記述があります。
少なくとも1週間は毎日30分ずつグリップの練習をしていただきたい。
そうすれば次に控えている基礎は2倍もやさしく、有用になるのである。
『モダン・ゴルフ』Lesson1 グリップ:P37より引用
いよいよ次回に迫ったゴルフレッスンの日まで、自宅でグリップの練習をしておきましょう。1回目のレッスンを効率よく消化できます。